香蘭女学校の歩みHistory
校名の由来
香蘭女学校
与善人居 如入芝蘭之室 久而不聞其香 即与之化
香蘭女学校の「香蘭」は、『孔子家語』六本の「芝蘭の交わり」の一節が由来と伝わっている。芝蘭とは、霊芝と蕑のことであり、めでたい草とかおりの良い草を意味し、すぐれたものや人の喩えにされる。「香蘭」女学校という校名には、芳香の漂う芝蘭を飾る部屋に入るといつの間にか、その良い香りとひとつになるのと同じように、よい人とともに過ごすことで、その立ち振る舞いや価値観などを香り立つごとく身にまとって欲しい、という願いが込められている。
St. Hilda’s School
香蘭女学校の欧名St. Hilda’s Schoolは、守護聖人 聖ヒルダの名に因んでつけられた。
香蘭女学校では、ヒルダ祭、ヒルダ賞、聖ヒルダ記念館など、学校の大切な行事や建物の名称には守護聖人 聖ヒルダの名を冠しており、そこには香蘭女学校が聖ヒルダの名に恥じない良き学びと交わりの場となるように、という願いが込められている。
校章
香蘭女学校の校章は、「香」を中心に「蘭」の花をあしらったデザインで、正式名称を「蘭花抱合双薫ノ紋様(らんかほうごうそうくんのもんよう)」という。明治時代に制定され、当時の校旗が写った写真にその校章を見ることができる。この校旗は、太平洋戦争中の空襲で学校が全焼した際に焼失した。戦後、以前の校章の記録をもとに、元美術科教員・広澤隆太先生が改めてデザインし直し、新しい校旗を制作、現在の校章が完成した。
スクールカラー
1941(昭和16)年、荏原区平塚校地(現 品川区旗の台校地)で行われた新校舎竣成時、記念品として陶磁器製のペーパーウェイトが在校生にも配られた。スクールカラーは緑色との口伝はあったが、第16代校長・鈴木弘先生のもと創立130周年を期に、この陶磁器製のペーパーウェイトの色である「花緑青(はなろくしょう)」をスクールカラーに定めた。
校歌・創立記念日の歌
校歌
香蘭女学校の校歌は、明治時代に第3代校長・富田俊先生(東京女学館第1回卒業生)によって作詞され、時代を越えて100年以上もの間、香蘭女学校の教職員、生徒、校友生によって歌い継がれてきた。当初は4番まであったが、1964(昭和39)年頃に3番が削除され、現在の形になった。
1
深山にかおる あららぎも
うつせば庭に におうなり
時とところは 世のさがぞ
咲くはわが身の つとめなり
2
名もかぐわしき この園に
生いたつ友よ わが友よ
さだめはよしや かわるとも
己がつとめは つとめなり
3
なすべきつとめ つくしつつ
薫りをはなて とりどりに
あまつみかみの きわみなき
めぐみのつゆに うるおいて
創立記念日の歌
大正時代の通知簿(※)に掲載されていた歌詞を元国語科教員・関修司先生が補作した。楽譜はなく、生徒から募集することになった(2011(平成23)年11月8日公募開始、2012(平成24)年3月12日〆切)。15名ほどの生徒作品が寄せられ、川野生衣さん(120回生・当時高等科3年)の作品が採用された。 ※ 教育勅語、香蘭女学校主意(学校の教育方針)の概要、生徒心得、校歌や(創立)記念日の歌が掲載され、現在の生徒手帳、通知表、健康診断手帳、連絡簿などの役割もすべて兼ねたもの。
香蘭女学校の歴史
- 1873 明治6
- 英国SPG派遣のA.C.ショー、W.B.ライトの両師、東京で伝道開始
- 1886 明治19
- E.ビカステス主教来日
- 1887 明治20
- E.ビカステス主教、今井壽道先生を初代校長として香蘭女学校設立願提出
- 1888 明治21
- 麻布区永坂町1番地に校舎完成/4月開校、授業開始(修業年限4年・生徒数7名)
- 1892 明治25
- 第1回卒業式(卒業生1名)
- 1899 明治32
- 高等女学校令が公布されたが、キリスト教教育を貫くため各種学校に留まる
- 1903 明治36
- 第1回バザー開催
- 1910 明治43
- 11月16日 0時20分火災 1時間で校舎を焼失
- 1912 大正元
- 9月12日芝区白金360番地の新校舎に移転/9月19日 開校式挙行(9月19日を創立記念日に制定)
- 1920 大正9
- 日本女子補導団(ガールガイド)創設、東京第一組結成/聖歌隊(クワイヤー)を創設
- 1941 昭和16
- 3月21日 荏原区平塚7丁目1046(現校地)に移転/10月27日 校舎落成式
- 1943 昭和18
- 帝都防衛城南部隊によって校舎の一部が接収され、軍が常駐
- 1945 昭和20
- 香蘭女学校から香蘭高等女学校に改組/5月24日 夜の空襲により校舎焼失(8月15日 終戦)/九品仏浄真寺境内の建物を借り、12月より授業再開
- 1948 昭和23
- 11月 九品仏浄真寺から現校地に戻る
- 1969 昭和44
- 生徒会発足
- 1972 昭和47
- 父母の会発足
- 1973 昭和48
- 中高生徒会分離/ヒルダ祭運営実行委員会を組織/第1回ヒルダ祭開催
- 1988 昭和63
- 香蘭女学校 創立100周年
- 2007 平成19
- BIG SISTER制度を新たに開始
- 2011 平成23
- 香蘭女学校維持後援会 設立
- 2018 平成30
- 香蘭女学校創立130周年を迎える
- 2020 令和2
- クワイヤー、ガールスカウト創設100周年を迎える
周年行事
2020年度〜2023年度は,香蘭女学校にとって重要な事柄が開始,創設されてから100年以上経過するものが多い。
- 校門(2018年に建立100年)
- ビカステス主教(2020年に生誕170周年)
- 聖ヒルダミッションおよび女性宣教師たちの働き
- ミス ソントン 1888年より奉職 / 1904年に日本で永眠
ミス タナー 1911年に奉職 / 1940年に帰英
ミス ウーレー 1923年より奉職 / 1964年に帰英
ミス ヘイルストン 1924年より奉職 / 1965年に帰英
ミス チャンドラ 1953年より奉職 / 1985年に帰英 - バザー(1903年より開催 / 2023年にバザーを始めてから120年目(戦時中,1〜2回開催中止))
- 創立記念日(1912年制定 / 2022年に110回目)
- ガールスカウト(1920年創設 / 2020年に創立100年)
- クワイヤー(1920年創設 / 2020年に創立100年)
- 校友会(1896年創設 / 2021年に創設115年 / 校友会・同交会に分離してから2021年に95年)
- 校地の変遷(1941年3月21日移転 / 2021年3月21日に旗の台移転80年)
学校史資料室
2018年度、創立130周年を迎えたことを期に香蘭女学校学校史資料室を創設いたしました。
資料室の目的は、次の4点です。
- 校友生の皆様、関係の皆様からご寄贈いただきましたお品を保管管理し、適切に役立てる。
- 公文書等の調査をする。また、校内の歴史的文書に関する管理保管を行う。
- 校友生の皆様からの聞き取り調査をする。
- その他,香蘭女学校の歴史の調査研究に関わる諸事項を実施する。
今後も,2度の校舎焼失によって失われた香蘭女学校の歴史を調査,研究を進めて参ります。
元校友会会長・第11代校長・志保澤トキ先生(27回生)が『春秋の香蘭』第52号に書き記した次の言葉を皆様と共有し,今後の香蘭女学校の歴史資料の継続的な保管、維持管理を目的としたご寄付に対してもご賛同賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
「この香蘭の伝統的な本質は無形なものであるだけに、時代の波や人の浅薄な考えで容易に変えられたりそこなわれたりするものではないのです。どの時代にでもどんな形によってでもこの校とかかわりをもった者は、永遠に香蘭の一部であって香蘭を形成し支持している力なのです。それと同時にその伝統精神を守る責任を負っているのです。」