校長メッセージ Message from the Principal

ごあいさつ

香蘭女学校中等科・高等科 校長
鈴木 弘

たゆみなく歩み、真理を求めて

香蘭女学校は、英国聖公会のE・ビカステス主教による聖ヒルダ・ミッションの信仰の証しとして、「女子の教育」のために建てられたミッションスクールです。1888(明治21)年に創立して以来130有余年に渡り、本校はキリスト教の信仰に基づく全人的な関わりをもって女子を育てるという伝統を守り続けてきました。このことは、修道女であった「教育の聖人」聖ヒルダの名を戴いたSt.Hilda’s Schoolという欧名に象徴され、また、女子に教育機会が与えられなかった創立当時から今日まで1万名を超える卒業生を送り出したという事実に裏付けられています。内外の苦境にもその都度、立ち向かって歩んできたこの長い道程は、本校が誇る大きな財産です。

学校は、自分を見つめ自分らしい生き方を模索し、社会に踏み出していくための準備を行う場としての役割も担っています。あらためて社会に目を向けると、そこは多様性に満ちた世界です。その中にあって自分らしく生きていくためには、“人はみな違う”というあたり前の事実を深くとらえ、様々な人たちが共に生きていくための知恵と技を学び創り出していくことがとても大切です。香蘭女学校では、一人ひとりの生徒の個性を「引き出し」、それを「伸ばす」ことに最も心を砕いています。個性は、神様からいただいた「賜物」です。良いも悪いもありません。「薫りをはなて とりどりに」と校歌の一節に歌われているように、どの生徒も自分の「賜物」を磨き、それぞれの個性を発揮できるようにしたいと考えています。

加えて大切なことは、自分の個性を伸ばすと同時に「他の人の個性を尊重する」ということです。ここにも聖書の教えが生きています。他の人のために何ができるか、あるいは他の人とともに何ができるかを考えることが必要です。この「ともに生きる」ための知恵を、本校の生徒は学業やさまざまな学校行事を通して絶えず学び考えています。

香蘭女学校は、「女子の教育」という視点を大切にしています。心身ともに大きく成長する中高6年間に男女を分けて教育する意義と意味を深く考え、これからの社会で活躍する女性に必要な資質や能力とは何か、それを伸ばすにはどうすればいいのかを常に問い返しながら、「女学校」として進化し続ける努力を私たちは止めません。

技術の進化や社会の変革は止まるところを知りません。それは人間の拠って立つ真理が絶えず揺れ更新されることに他なりません。一人一人の違いが大切にされ豊かに活かし合うつながりを尊ぶ聖書の教えは、一層貴重な「灯」となるでしょう。教育の現場にも大きな波が押し寄せています。今後、学校の形がどのように変化しようと、私たち香蘭女学校は、聖書を礎とした全人教育を高く掲げ、次の時代を支えリードする女性の育成に邁進していきたいと考えています。