チャプレンメッセージMessage from the Chaplain

2024年06月01日掲載

あなたがたは知らないのですか。競技場で走る人たちは、皆走っても、賞を受けるのは一人だけです。あなたがたも、賞を受けられるように走りなさい。  コリントの信徒への手紙一、9章 24節


 このみ言葉から連想される通り、今月は先日の運動会のお話をしたいと思います。新チャプレンの私にとって、とても新鮮な体験となったからです。それまで私が経験した運動会のイメージは、“straining”「大変!」というものでした。

 運動会に行くための荷物も「大変」、運動会を見るための場所取りも「大変」、子どもを探してベストの写真を撮るのも「大変」、暑さ対策も「大変」、お弁当時間も「大変」です。それぞれが必死なので、互いに邪魔になったり、譲り合いもなかなか「大変」です。お互い関係者なので、一層マナーも意識しなければなりません。もちろん生徒たちの頑張りや活躍は微笑ましく、日頃見られない姿を見られる機会は楽しいものでしたが、運動会が終わる頃には、私はすっかり疲れ切っているのが常でした。

 今回の香蘭の運動会も立場は異なりますが、似たような雰囲気、経験を予想していました。しかし、その予想は見事に外れました。まず、会場は例年通り、多摩川に近い川崎市とどろきアリーナで開催され、冷房完備のとても快適な空間でした。自分は写真を撮る立場にはなかったので、タイミングやアングルを気にすることもありませんでした。何よりも運動会全体の雰囲気が本当に素晴らしいものでした。生徒たちからは競い合いの中にも真の絆が感じられました。結束した生徒たちの姿は本当に清々しく、誇り高いものでした。私にとって、すべてが完璧なエンターテインメントで、大変さは微塵もありませんでした。この場を借りて、生徒たち、先生たち、そして父兄の皆さんの見事なパフォーマンスを称えたいと思います。

 そして、前述の聖パウロによる「コリントの信徒への手紙第一」の一節を思い起こさせました。パウロの言葉からスポーツにおける目標設定と忍耐の大切さを教えられます。それはまた、人生においても、困難にぶっつかっても、精神的な目標と肉体的な目標を見失わなければ、きっと道は開けるということです。生徒たちの運動会での雄姿は、まさにそれを実証しているようで、輝きに満ちていました。


香蘭女学校チャプレン  マーク・ウィリアム・シュタール