チャプレンメッセージMessage from the Chaplain
2024年10月01日掲載
近年、日本の街角、商店、学校にまですっかり浸透したイベント、ハロウィーンですが、私が初来日した1980年代、「Hallowe'en」のお祭りを日本で見かけることは全くありませんでした。恐らくその火付け役となったのはディズニーランドでしょう。徐々にハロウィーンは日本でも市民権を得て、今や警察まで動員される一大イベントになりました。しかし、人々がもっぱら注目するのは、仮装やお菓子集めではないでしょうか。
10月31日の「Hallowe'en」がキリスト教の11月1日の諸聖徒日と深い関係があり、元々は一地方の祝日に過ぎなかったと知っている人はどれくらいいるでしょうか。8世紀にローマ教皇グレゴリウスが諸聖徒日を5月13日から11月1日に変更したのですが、それは偶然、アイルランドのケルト族の「Samhain (sow-inサウイン)」という収穫感謝祭と同じ日でした。ケルト人たちは、「Samhain」を祝う前には地上でうろついている悪霊をなだめる必要があると信じ、おばけや魔女に扮装して、かぶを用意してかがり火を焚きました(後にアメリカでサイズが大きく入手しやすいことから、カボチャを代用するようになりました)。収穫感謝祭の前に、悪霊を追い出すというのはとっても話としてしっくり来ました。
この聖なる日の準備を「キリスト教化」したものが広まり、諸聖徒日「All Saints' Day」前夜「All Saints' Evening」となりました。古いアングロ・サックソン語では「All Halloweds' Evening」(Hallowedは聖人とか聖なると言う意味)と言います。それが短く「Halloweds' Evening」となり、さらに「Hallowe'en」となりました。
日本人に「Hallowe'en」を説明するには節分とお盆が一緒になったようなものというと、よくわかるようです。鬼を追い出してから福を招き、ご先祖様を偲ぶ感じです。
「Hallowe'en」本来の意味を理解した上で、仮装したり、お菓子を集めて回ったりすれば気持ちも違ってくるでしょう。本来は仮装を競ったりカボチャのくりぬきコンテストをしたり、大騒ぎするお祭りではないのです。香蘭の皆さんも自分の文化とは違っても、儀式のルーツを理解することで、自分の文化への理解も深まることと思います。
香蘭女学校チャプレン マーク・ウィリアム・シュタール