チャプレンメッセージMessage from the Chaplain

2024年11月01日掲載

「戦争のことや戦争の噂を聞くだろうが、慌てないように注意しなさい。 それは必ず起こるが、まだ世の終わりではない。」 マタイによる福音書24章6節


キリスト教の暦では11月は年末に当たります。そのため、聖書日課は終末的、黙示録的な箇所を読むことが多くなります。現在の世界情勢を見渡せば、ロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・パレスチナ戦争など、既に悲惨な戦争状態になっている地域や、東アジアなど、緊張状態にある地域が世界のあちこちに見られます。当事者の苦難や悲しみは計り知れませんが、当事者でなくてもこれらの危機的状況は人々の不安を掻き立てます。

 聖書の中で戦争が語られる時は、多くの場合、激しい暴力や破壊、苦難の後に神様の神聖な裁きがあります。人によっては黙示録的な話は、この世の終わりを予感させられ、絶望感、無力感にさいなまれます。あるいは、戦争、疫病、飢餓などの人々の苦しみは、あたかも神様の怒りの表れであるかのように思うかも知れません。

 しかし、悲劇的で緊迫した世界情勢がこの世の終わりを連想させる今こそ、イエスの預言、聖書の黙示録的な話の重みが増してきます。十字架上の死は世の終わりではなかった、それは空っぽの墓が示してくれました。死にさえ打ち勝ったという事実を通して、私たちは神様の栄光を見ます。ここに私たちに与えられた確かな約束があるのです。神様は私たちが暗闇を行く時でさえ、いつも傍らで共に歩んでくださるという約束です。その時がくれば、必ず神様はみ光をもって照らして下さる、という強い思いを持って祈りたいと思います。世界も、私たち一人一人も、その時には、神様の光に照らされ、神様の愛に満たされると信じます。

 キリスト教暦の年末に当たり、私たちは心を一つにして、世界各地の紛争、戦争の終結、和解を願い、一日も早い世界平和の訪れを祈りたいと思います。


香蘭女学校チャプレン  マーク・ウィリアム・シュタール