チャプレンメッセージMessage from the Chaplain

2025年01月01日掲載





Happy New Year!


「東方で見た星が先立って進み、ついに幼子がいる場所の上に止まった。博士たちはその星を見て、喜びに溢れた。 マタイによる福音書2:9b~10


 1月と言えば、新年を祝う季節です。しかし、教会では、博士たちがイエスを拝み、贈り物を捧げるため到着する場面から始まる「顕現節(けんげんせつ)」を迎え、これをもってイエスの誕生を世に「啓示」します。では、この「博士」たちとはどのような人物だったのでしょうか。

 イエスの誕生物語でのみ登場する東方からの「博士」たちは、クリスマスキャロルでも歌われる通り、大きなインパクトを残しました。聖書では、この3人は「東方から来た賢者」と呼ばれたりもします。古代バビロンやペルシャなどでは、占星術者が司祭の助言者としてしばしば登場し、「3人の博士」はそのような地位と目されていました。マタイによる福音書によれば、東方の博士らは星に導かれて幼子とマリアにいる所に辿り着き、イエスの前にひざまずき「金、乳香、没薬」を捧げます。金はユダヤの王としての地位を、乳香は神性と神の子としてのアイデンティティを、没薬は死すべき運命を象徴していました。

 一方、当時の権力者ヘロデ王は新しい「王」の誕生の噂を聞き、嫉妬深くその幼子を探し出そうとします。博士らはベツレヘムに向かう途中、ヘロデの宮殿に立ち寄り、王は「私も行って敬意を表するから居場所を教えてほしい 」と頼みます。しかし、博士らは夢で聞いた「ヘロデのもとに戻ってはいけない」との警告に従い、別の道を通ってそれぞれの国へ帰っていきます。 後世の物語では、博士らはそれぞれ、ペルシャ人、インド人、アラビア人だと伝えられています。

 一般的に、キリスト降誕の物語は凝縮され、誕生直後に3人の博士がベツレヘムに現れるかのように描かれますが、伝統的には3人の博士が訪れるのはクリスマスから12日目とされており、この日を顕現日、エピファニー(3人の博士の日)として祝います。顕現日は、博士らが到着し、イエスの誕生を世に啓示するキリスト教の最も古い祝日の一つとなっています。

 この1月も顕現節に当たり、私たちへの啓示を感謝を持って受け止めたいと思います。


※ イタリアのラヴェンナにあるサンタポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂では、6世紀初頭に描かれた見事なモザイク画に、贈り物を捧げる博士らを見ることができます。


香蘭女学校チャプレン  マーク・ウィリアム・シュタール