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校友の新倉瞳さんが齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞
2021年3月3日、校友であるチェロ奏者の新倉瞳さんが、若手チェリストの登竜門として知られる「齋藤秀雄メモリアル基金賞」を受賞されました。
新倉さんは中学卒業を機に音楽学校に進学しましたが、香蘭での3年間は、毎日のチェロの練習はもちろん、学校の様々な行事や中学生活に目を輝かせた濃い日々だったそうです。それは音楽家への道を本当に決意するために大切な、好い時間となったのではないでしょうか。パプロ・カザルス「鳥の歌」と出会ったという中学2年生の時、新倉さんは夏休みの作文の課題に、自身の幼少期から現在までを見つめて3000字もの物語を書きました。ピアノの挫折、母との葛藤、チェロとの出会い、そして夢・・・。
私の愛したカタロニア地方の鳥は
ピース、ピースと鳴いている。
カザルスの言葉をエピグラフに、練習で変形した、太くてタコだらけで深爪の自分の左手を「私の大切な勲章」と言い切る結びの一文まで、童話のように穏やかながら心に刻むような語り口のその文章には、次のような一段落があります。「少女には、一生続けようと心に決めているものがあります。それはチェロです。チェロの演奏を通じて、世界中の人たちに平和を呼びかけたい。それが、少女の夢なのです。」
この作文はその年の校内コンクール「ヒルダ賞」を受賞しましたが、新倉さんは「ヒルダ賞」を翌年も、作文と美術でダブル受賞します。祖父への思いを書き留めた作文、静物をえがき込んだ絵、いずれも新倉さんの研ぎ澄まされた五感、世界の空気や人の感情に思いを凝らし表現しようとする情熱、温かくて柔らかい人柄があふれ出すような、見る人の心を揺さぶる作品でした。
新倉瞳さんの在学3年間の豊かさに思いを馳せつつ、今後の一層のご活躍を心からお祈りせずにはいられません。いつか、香蘭でも新倉さんのチェロを聴かせていただける日が来ますように!