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第2回宗教講話はハンセン病全療協の藤崎陸安先生
香蘭女学校で長年にわたり毎年2回行っている宗教講話。一学期にアーサー・ビナード先生をお招きした第1回に続いて、この11月9日午後に今年度第2回が礼拝堂で行われました。今回お招きしたのは、全国ハンセン病療養所入所者協議会事務局長で、多磨全生園の宗教地区にある日本聖公会聖フランシス・聖エリザベス礼拝堂信徒代表の藤崎陸安先生でした。
まず高田校長から藤崎先生のご紹介がありました。香蘭女学校ではずっと以前から高等科2年生のバザー委員を中心に毎年多磨全生園を訪問していますが、その時にお世話になっていることも紹介されました。続いて高橋チャプレンによる開会の祈り。そしていよいよ藤崎先生のお話が始まりました。
お話は、1907年の法律「癩予防に関する件」に始まるハンセン病患者の方々に対する国家による弾圧の歴史から始まりました。日清・日露両戦争を経てより強国になろうとした日本が、美しい国を諸外国から訪れる人々に見せるためにハンセン病患者を封じ込める対策をとったこと、そしてその後療養所で行われたさまざまな酷い出来事など、1951年の全国ハンセン票療養所入所者協議会設立に至るまでの苦闘の歩みが、藤崎先生自らの体験をもとに具体的にわかりやすく話されました。そして、ようやく「らい予防法」が廃止されて20年、しかし扱いは一向に良くなっていないという事実、現在全国で1577人の療養所入所者の方々のためにできることは何か、藤崎先生たちの現在も続く戦いが紹介されました。
そのあとは、藤崎先生の自己紹介に入りました。秋田で生まれ、9歳で療養所に入った時にあった出来事。1959年4月10日当時の皇太子ご成婚の日に長島愛生園に出来た高校に入学した時の屈辱的な逸話。今から26年前にお父様が亡くなった時に故郷に呼ばれながら葬式に出席することを拒否されたことなど、私たちには想像もつなかいような苦痛の連続の歩みが語られました。
そして最後に、現在の行政の基本的態度について、問題が依然として全く進んでいないこと。さらに国の負の遺産を伝えてゆくこと。若いみんなに期待していること。知らないことも、知ろうとしないことも、共に罪であること。治る病気であるので正しい知識を身につけてほしいこと、などを生徒たちに強く訴えてくださいました。そして、今残っている入所者が生きてきて良かったなと思いながら最期を迎えられるようにすることが願いなのだとおっしゃったのが、大変印象的でした。
高橋チャプレンによる閉会のお祈りを終え、藤崎先生をお見送りした後、各教室に戻って生徒たちは講演を伺っての振り返りを書きましたが、その間シーンと静まり返った教室には、藤崎先生のお話を通して感じること、思うこと、考えることが個々の中に次々と湧き出ている空気が感じられました。
実に貴重な時を経験した第2回宗教講話でした。