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今年度第1回宗教講話は田中好子先生のお話
香蘭女学校キリスト教センターが主催してキリスト教の柱に基づいた大切なお話を全校でうかがう機会となっている宗教講話。香蘭女学校ではずっと昔からこの宗教講話を続けてきています。
今年度第1回の宗教講話は6月21日の午後、全校生徒が集まる礼拝堂に田中好子先生をお迎えして、「パレスチナとシリア難民の子どもたち 現状と支援」と題して行われました。
田中好子先生は「特定非営利活動法人 パレスチナ子どものキャンペーン」事務局長でいらっしゃいます。先生は1986年の同団体設立に参加。そして、パレスチナやレバノンの難民キャンプで、子どもの教育、保健、人権に関わる支援事業を立ち上げられました。国連パレスチナ問題NGO国際調整委員会委員や、同アジア地域調整委員会委員を歴任され、パレスチナのNGOはもとよりイスラエルの平和団体や各国のNGOとの深い関係を持っていらっしゃいます。同団体は1996年に東京弁護士会人権賞を受けています。なお、先生の翻訳書に『イスラエル兵役拒否者からの手紙』(NHK出版)があります。
講話に先立ってまず、鈴木校長より田中先生の紹介があり、引き続き高橋チャプレンによる開会のお祈りが捧げられました。
講演はまず、田中先生から「パレスチナって聞いて、まずどんなことが浮かびますか?」という問いが投げかけられ、高等科2年の生徒から「ガザ」という地名が出されたところから始まりました。そして、「難民」とは何か、現在どのくらいの人数の難民・避難民がいるか、世界のどこに難民が多いか、などのデータを使っての解説がありました。
続いて、パレスチナの現在を映像で見せていただきました。シェファの病院での負傷した少年の映像を見た後、ガザ戦争の現状の説明があり、田中先生の団体がガザでどのような緊急支援活動をしているのかが紹介されました。
さらに、ベイルートマラソンに出場して、元気を取り戻したシリアの少女の映像を見た後、シリアやパレスチナの難民がどのような思いで生きているのか、今どんなこと・物が必要なのか、私たちにできることは何なのか、といった問いが投げかけられました。
生徒たちは多くがメモをとりながら、一生懸命自分の問題として、田中先生のお話に耳を傾けていました。
最後の30分間は、田中先生が各学年の座席を1階席も2階席もすべて順々に回られて、生徒の発言を次々と聞かれました。生徒の率直な発言に先生は一つ一つ応答されながら、自分の意見をしっかり発言することの大切さを強調されました。
講話のあと、高橋チャプレンによる閉会の祈りを捧げて、会は終了しましたが、各教室に戻って生徒たちは、振り返り用紙にぎっしりと思ったことや考えたことを書き綴っていました。
この世界に向けての自身の問題意識を改めて高め深める契機となった、忘れがたい講話になったことでしょう。