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卒業生の上橋菜穂子さんが新刊で香蘭生時代を語っています
NHK総合テレビの大河ファンタジー「精霊の守り人」は3年目の「最終章」を絶賛放映中ですが、その原作者である上橋菜穂子さん。香蘭女学校の第89回卒業生であり、川村学園女子大学特任教授の文化人類学者でありますが、ご存知のように児童文学作家としても絶大なる評価を得ています。『精霊の守り人』では野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞、アメリカ図書館協会バチェルダー賞を、『闇の守り人』では日本児童文学協会賞を、『夢の守り人』では前2作と合わせて路傍の石文学賞を、『神の守り人』では小学館児童出版文化賞をそれぞれ受賞し、また『獣の奏者』『鹿の王』では本屋大賞、日本医療小説大賞を受賞、その他の作品でも数多くの受賞をしています。さらに2002年には巌谷小波文芸賞、2014年には国際アンデルセン賞作家賞も受賞しています。
その上橋菜穂子さんの最新作のインタビュー・スピーチ&エッセイ集がこの11月に偕成社から出版されました。
この『物語と歩いてきた道』と題されたこの本には、上橋さんが香蘭生だった当時の逸話が多々記載されています。例えば、「あなたの成績表でサーフィンができる」と香蘭の先生に言われたくらい成績に波があった話から始まる「私を育んでくれた懐かしい場所」という章では、中学で文芸部に入り、図書委員にもなって、読書の幅が広がった話が描かれています。さらにその頃、萩尾望都をはじめとした漫画を読み始めてから漫画家になりたいと思うが断念したあと書いた短編小説「天の槍」が旺文社学芸コンクールの佳作に入選した話、香蘭の英国研修旅行に参加した話、同じ頃サトクリフの歴史ファンタジーに出会った話が続き、その中で次第に文化人類学を志すようになったことが記されています。
この本の後半では、「歌って踊れる図書委員」という章があります。香蘭女学校の図書委員時代に本の面白さを香蘭生にわかってもらうために、「お昼休みに寸劇ゲリラ作戦」と称して、大好きな本を寸劇にしてお昼休みに放送するという話から始まり、ヒルダ祭に参加して教室に囲炉裏を作ったり落ち葉をばらまいたり蓑笠をまとって客引きをした話、手作り絵本コンテストに受験戦争そっちのけで応募して見事落選した話などが、次々と楽しい筆致で描かれています。
40年ほど前の話ではありますが、現在も変わらない香蘭女学校の楽しく豊かな学校生活を垣間見ることのできる愉快な逸話を、卒業生の上橋菜穂子さんが紹介してくれました。
上橋菜穂子さんの新刊『物語と歩いてきた道』。一読をお勧めします。
(写真は、新刊『物語と歩いてきた道』表紙、香蘭女学校に講演に来た時の上橋菜穂子さん)