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ナザレ修女会の女子修道院で今年も「静想会」
東京都三鷹市牟礼に日本聖公会の「ナザレ修女会」の修道院があります。吉祥寺駅からほど近い、井の頭公園の裏手にあたる場所です。
1920年4月、英国エピファニー修女会の修女4人が芝白金三光町の聖ヒルダ女子神学部校舎にて修道生活を始められました。やがてそれは「エピファニー修女会日本支部」となり、1936年、そのエピファニー修女会日本支部に入った2人の日本人女性の志願者は修道女として着衣式を受け、日本人の修道院としての「ナザレ修女会」が同じ敷地内に創立されました。どちらも当時の香蘭女学校と同じ敷地内です。シスターたちは、刺繍を生徒たちに教え、音楽の指導にも力を注ぎ、日本聖公会で初めて彼女たちの歌う天使ミサ曲がレコードに吹き込まれました。そして、多くの生徒たちが信仰の道へ導かれていきました。戦後の香蘭女学校でも1960年代初め頃までは、講師として数名の修女さまたちが順々に授業を持ってくださいましたが、いつの間にかその交流は途絶えてしまいました。
2007年11月、香蘭女学校の先生たちが何十年ぶりにナザレ修女会を訪問し、翌2008年12月には生徒数名の訪問も実現しました。2011年には、高等科3年13名の生徒たちが、ナザレ修女会での黙想を体験しました。そして2012年11月にはキリスト教センターが主催して、高等科の生徒たちと高橋宏幸チャプレンはじめ先生方が、このナザレ修女会での静想会をし、以後毎年続けられるようになりました。
今年もキリスト教センター主催の第4回静想会が10月31~11月1日に行われ、高等科の生徒16名と高橋チャプレンはじめ6名の先生方が参加しました。
香蘭女学校の校舎と同じ内井昭蔵氏の設計による美しい修女会の建物に足を踏み入れた生徒たちはすぐに礼拝堂に入り、クワイヤーの生徒たちが修女様たちに歌声を披露しました。修道院の霊母である順(のぶ)修女様から、クワイヤーの歌に対してのお褒めのおことばと、修道院への来訪に対する喜びのおことばをいただきました。そして夕食。修道院での食事はひとことも話さない沈黙の時間です。夕食後には第2セッションとして、マナ修女様のお話をみんなでうかがい、そのあと質疑応答の時間となりました。マナ修女様のお話は、まず「神様はいると思いますか?」という質問から始まりました。ご自身が修道生活に入られるまでの半生の紆余曲折をお話しなさり、やっとこの修道院で「神様はいる」という気持ちになったことを柔らかな、しかししっかりとした口調で話されました。そのあと質疑応答の時間となり、マナ修女様もその一つ一つに対し丁寧にお答えをしてくださり、生徒たちはみな心にマナ修女様から大切な心をいただいて、それぞれの個室に帰ってゆきました。
翌朝は起床後まず、聖餐式を捧げました。武藤六治主教の司式によって、生徒たちは普段学校では経験しない体験をし、それぞれ武藤主教からの祝福を受けました。沈黙の朝食の後は、第2セッションとして2グループに分かれて話し合いをしました。まず今回の静想会への参加志望動機や修道院で半日生活してみての印象などをそれぞれ発表したあと、マナ修女のお話を受けて考えたこと、修道院生活から学校を改めて見直してみて思ったこと、日頃考えていること、疑問に思っていること、決意していることなどを各グループメンバーで分かち合い、最後に2グループが合流して高橋チャプレンからこの静想会の意義を改めて伺って、足かけ二日の静想生活という貴重な体験を終えました。
普段の日常とは正反対とも言える修道院生活をほんの少しだけではありますが体験して、生徒たちは静かに自身と向き合い、それを友と分かち合うことの素晴らしさに、感動を覚えたようでした。キリスト教学校で学ぶ私たちにとって、修道精神はその根本を教えられる貴重な経験となるので、今後もこのプログラムを続けてゆこうと考えています。