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今年度第1回宗教講話は川平朝清先生の「命どぅ宝」

香蘭女学校キリスト教センターが主催してキリスト教の柱に基づいた大切なお話を全校でうかがう機会となっている宗教講話。香蘭女学校ではずっと昔からこの宗教講話を続けてきています。
今年度第1回の宗教講話は6月13日の午後、全校生徒が集まる礼拝堂に川平朝清先生をお迎えして、「命どぅ宝 ~阿波根昌鴻さんの生き方~」と題して行われました。
川平朝清先生は琉球最後の国王に仕えた祖父を持ち、日本統治下の台湾で1927年に生まれました。1946年、地上戦で荒廃した家族の故郷・沖縄に移り、1950年、米軍が開局したラジオ放送局で日本語アナウンサー第1号となり、ニュースや音楽を伝えたり、沖縄戦体験記を朗読したりしました。米側の資金で米国ミシガン州立大学にも留学し、1967年には沖縄放送協会の初代会長に就任しました。1972年に沖縄日本返還に伴い吸収合併されたNHKで東京に配属され、国際協力担当などを務めました。昭和女子大学教授等を歴任し、現在は同大学名誉理事。ご子息はラジオDJのジョン・カビラさん、俳優の川平慈英さんです。
まず高橋チャプレンによる開会のお祈りがあり、それからキリスト教センター委員の中田先生から川平先生の紹介がありました。
講演に先立って、「さとうきび畑の詩 《清ら島 沖縄》 ~摩文仁からのメッセージ~」という映像を鑑賞しました。これによって、沖縄の近現代史についての基本的な知識を確認しました。
川平先生の講演に入ってからは、まずご自身の自己紹介がありました。祖父から父、そして自分へと続く沖縄人としての歴史を、沖縄近現代史や建造物などとリンクさせながら、わかりやすく説明してくださいました。
そしていよいよ本題。今から半世紀前に、沖縄を占領統治していたアメリカ軍が基地拡張のために土地の強制収用をした時に、伊江島で、巨大な権力を持ったアメリカ軍に対し、非暴力、無抵抗に徹して立ち向かい、島の基地の大部分の返還を勝ち取った、阿波根昌鴻さんというクリスチャンについてのお話に入りました。2002年に101歳で亡くなるまで、よく聖書「一匹の迷える子羊を助けるために九十九匹の羊を野において探した」「剣をとる者は皆剣で滅びる」などを引用し、「私たちはアメリカを救うため愛と忍耐を身につけなければならない」ということばを残しました。
話は現在沖縄が直面している問題にまで及び、その落ち着きと同時に力強い口調もあって、生徒一人ひとりの心に強く響く講話となりました。
最後に質疑応答の時間が設けられましたが、中等科1年生が質問の口火を切り、そのあと他の学年の生徒も次々に質問を川平先生に投げかけました。川平先生はその一つひとつの質問に、丁寧にしかも具体的に答えてくださいました。
講話のあと、高橋チャプレンによる閉会の祈りを捧げて、会は終了しましたが、各教室に戻って生徒たちは、振り返り用紙にぎっしりと思ったことや考えたことを書き綴っていました。
沖縄の抱える問題に向けての自身の問題意識を改めて高め深める契機となった、忘れがたい講話になったことでしょう。

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