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第2回宗教講話は泉岳寺住職の小坂機融先生
香蘭女学校で長年にわたり毎年2回行っている宗教講話。一学期に水谷修先生をお招きした第1回に続いて、この11月18日午後に今年度第2回が礼拝堂で行われました。今回お招きしたのは、泉岳寺住職の小坂機融先生です。小坂機融先生は1933年東京生まれの82歳。1960年に駒沢大学大学院人文科学研究科仏教学専攻修了、文学修士。現在は、駒沢大学名誉教授、大本山永平寺別院長谷寺専門僧堂堂長もつとめられています。今回のお話は、「仏教講話『拈華来(ねんげらい)の今を生きる』。
まず高田校長から小坂先生のご紹介がありました。続いて高橋チャプレンによる開会の祈り。そしていよいよ小坂先生のお話が始まりました。
最初はゆっくり120年余の香蘭女学校の伝統について触れられ、伝統が軽んじられてきた現代について話されました。そして、続いて命のことを話され始めてから、小坂先生のお話はあちらの話題やこちらの話題をゆったりと行ったり来たりしながら進められました。生徒たちには普段聞き慣れない「三大阿僧祇劫」「優曇波羅華」「遠芳忌」「尽十方界」「苦苦・懐苦・行苦」「無常苦」「自受用三昧」「典座(てんぞ)」などといった仏教用語が時折お話の中に登場し、そのたびごとに小坂先生はどのような字を書くのかを説明してくださいました。
お話の最後に行き着いたところは、今の私がこのようにあることが「稀有」なことであり、だからこそこの命をもってこの世界を生き抜いてゆく。そして道元禅師が「正法眼蔵」に書き残したように、正しい姿勢をもって正しい智慧を無偏無党で明らかにしてゆくことで、掛け替えのない「稀有」な私を生きることが大切なのである、ということでした。
生徒たちにとっては難しく聞こえる内容も多々あったかもしれませんが、小坂先生のお話の根本にある考え方が、私たちが日頃触れているキリスト教の考え方と実にそっくりであるということに気づいた生徒もいました。
私たちが日頃の自分を見直し、授かった掛け替えのない命の生かし方を考え直すのに、今回のこの小坂先生のお話は、たくさんのヒントを含んだものだったと思います。
高橋チャプレンによる閉会のお祈りを終え、小坂先生をお見送りした後、各教室に戻って生徒たちは講演の振り返りを各自書きましたが、その間シーンと静まり返った教室には、小坂先生のお話を通して「稀有」な私と向き合っている空気が感じられました。
貴重な時を経験した第2回宗教講話でした。